101号室 はたち過ぎの青春 忍者ブログ

101号室

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はたち過ぎの青春


 ぐぎゃおろるるるるぅ!!がぎゃああああ!!

「今日は何の日ーるっるー」

「は?戦士どしたの……ってえええ何そいつでか」

「はいあと3秒!21!」

「何?一体なんなの!?」

「はいゼロー。アウトです勇者さんザ・ジャッジ!」

「おごばぁっ!?」

 アルバはおもいッきり殴られた。

 

*

 

「ううううなんで突然右ストレート食らってんのボク……」

「いつものことじゃないですかー」

「その『いまさら何言ってんだこいつ』みたいな顔やめてよ同行者から一日二桁の殴打を受ける日常が間違ってんだよ!」

「世界を変えようとするより自分を変えた方が現実的ですよ」

「優しく諭さないで!マゾ枠はミーちゃんだけで一杯だからね!?」

「あっやっぱ被虐の悦びに喘ぐ勇者さんキモいのでそのままでいてください。今の気色悪さが限界値ですうわーサブイボ」

「勝手にダメージ受けやがったこいつ……」

「最寄りの法廷ってどこでしたっけ?」

「訴訟準備進めないで!ほんとになんなのお前!」

「戦士のロスですけど」

「ボクがそれを聞きたいとでも思った!?」

「えっこれ以上の深いことを知りたいとか……ストーカー……」

「ごめん待って、のど飴と胃薬買ってくるから10分ちょうだい」

「俺焼きそばパンで」

「言外のメッセージ受け取って貰える?」

 

*

 

「うわ紅ショウガ入ってんじゃないですか。俺コレ嫌いなんですよねー」

「パシリに使っといてその言い草……」

「あと勇者さんがメロンパンカリモフ食いしてんの視界に入って心的外傷なう」

「パンくらい好きに食べさせてくださいそれと実は冒頭からお前の後ろに控えていた化け物についての説明がそろそろ欲しいんですけど」

「いやあ突っ込みが無いのでまさか見えていないのかとちょっと焦っちゃいましたよ」

「スルーできるもんならしたかったわ!たたかう選択した途端にはげしいほのお吐いてくるタイプのドラゴンじゃんこれ!」

「ペットのヤマタノオロチちゃんです」

「どうしよう中ボス手懐けてた……」

「それで今日は何の日の話に戻るんですけど、523日はキスの日だそうです。あなたには縁遠いものですね」

「脈絡って知ってる?あとお前第二文言いたいだけだよね」

「何言ってんですか。童貞アバラマンにたまにはいい思いさせてあげようと俺が骨折ってやったって言うのに」

「……え」

「うわあ期待に輝く顔醜悪過ぎ」

「一瞬見せた優しさ台無しだよ!」

「グリルパルツァーの接吻ってあるじゃないですか。『手の上なら尊敬のキス 、額の上なら友情のキス、 頬の上なら満足感のキス、唇の上なら愛情のキス、閉じた目の上なら憧憬のキス、掌の上なら懇願のキス、腕と首なら欲望のキス。さてそのほかはみな狂気の沙汰』って」

「あー、聞いたことあるかも」

「ちょうど八項目なんですよね」

「『ちょうど』?……ってまさかお前!?」

「オロチちゃんの唇も八つあるんですよ!奇跡のような偶然に感動しながら存分にちゅっちゅしちゃってください」

「それこそが狂気の沙汰だわ!ねえやめてけしかけないで対応する箇所食われるから!!」

「初めてでしょ?優しくしてあげますから安心してください」

「自分のペットの巨大な犬歯見てから物言って!?」

 アルバが泣きながら逃げ惑うのをロスは座って眺めている。まあちゃんと躾はしてあるし噛み殺されはしないだろう。いい見世物だなあ。

 春の風に吹かれて包装紙が音を立てた。ロスは半分ほど残っているアルバのメロンパンに手を伸ばし、何の気なしに一口齧る。あっこれ間接キスじゃん。どうしようちょっと恥ずかしいしパン凄い甘い。

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