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煮えろとろかせ夢の国


 蒼い焔がとろけこんでしまったみたいに頭の中がぽやぽやとしていた。ぬめる思考の奥底の方からずくんと強い突き上げが来て、クレアシオンは喉を反らせて嬌声を上げた。後孔がきゅうと締まって、咥え込んだものの形をありありと感じた。寒気みたいな電流がびりびりと背筋を駆けのぼり、頭の後ろの辺りで一気に弾けた。白く光る視界の真ん中ではよく知った顔が笑っている。振り落とされてしまいそうな快感が怖くて、右手だけで首筋に縋りついた。銀色の長い髪が揺れた。

 座位のまま腰を掴まれて、抉り込むように穿たれる度にぐちゅりにちゃりと大袈裟なくらいの粘つく水音が響き、それがまた少年を気持ちよくしてしまった。熱い肉の塊が一度ぎりぎりまで引き出され、ゆっくりと焦らすようにしてずぷずぷと埋め込まれていく。喘ぎ続けるせいで口が閉じられない。涎がこぼれ、左手の甲のあたりに落ちた。自分の手によって射精を堰き止められた陰茎は赤く腫れ、鈴口ははくはくとうごめいていた。

「シーたん、ね、クレアくんのちんこ、おいし?」

「ひ、やああぁあ、うぁ、あっあ、ああぁああ、っ!」

 律動を止めないままに聞くものだから、まともな言葉を喋れなくなった少年は必死に頷くしかできない。気持ちよくて気持ちよくて死にそうで、どこもかしこも馬鹿になっていた。震える喉で息を吸うと腹筋に変な力が入って、それでまた中を締め付けてしまうのだ。一番気持ちいいしこりを雁首でそっと掠められ、竿の上下の動きで擦られた。その旅に浅くて速い痙攣が波紋みたいに広がっていく。何重にもなったそれは、ちょうど重なり合った部分で少しだけ大きな波になり、そのもどかしさで以てクレアシオンの頭や腰やその奥をさらにとろかしてしまおうとするのだった。ぐずぐずになった赤い目からまた涙が零れた。気持ちいいのに、足りない。

「イきた、も、ひあぁ、イかせ、っああぁあ、ごりって、してほし、」

「だぁめ。じっくりやったら、ん、ずっと気持ちよく、なれるんだよ?シーたんは、ぁ、気持ちいいの好きじゃないの」

「……す、きぃ、きもちいぃの、すき、ぃああぁ、ぁああ」

「ね?じゃあ、我慢しないと」

 全身の毛穴が開き切ってしまったみたいに、肌は凄まじく粟だっていた。喘ぎ過ぎて笛のような音が鳴り始めた喉から順に全部バラバラになるのではないかと思う程だった。凄く気持ちよくてふわふわと漂うようなどろどろととろけるような幸福と快楽に呑みこまれていた。親友の皮を被った父親が憐れむようにやさしい目を向けていた。ねろりと舌と舌を絡ませて、とうさん、とうさんと鳴きながら、クレアシオンはいつまでも続く絶頂に震えていた。

 

*

 

 目覚めた瞬間に冷や汗が滝のように噴き出した。全身が瘧のように震えていた。

 悪夢の記憶は薄らぐ気配も見せずに頭蓋骨の内側にこびり付く。自分の甘ったるい嬌声が勝手に再生され、思わず耳を塞いだ。ひどい夢だった。悍ましい夢だった。何よりシオンが恐ろしかったのは、夢の中のちいさな彼がひたすらに幸せを感じていたことだった。魔王の首にしがみ付いて肛門で性器を咥え込みながら、父親の名を呼んで気を遣った。あれは、何だ。耳鳴りがわんわんと響いていた。考えたくもない可能性が浮かび上がって消えなかった。

 望んでいたとでも言うのだろうか。

 その時、隣のベッドから身じろぐ音が聞こえた。

「……シーたん?どったの?」

 声を聞いたらもう駄目だった。音声の連れてくるクレアの顔が同じ顔の男の姿を呼び起こし、先ほどの悪夢が更に音量を上げて再生され始めた。胃の腑から熱いものが込み上げてくるのに耐えられず、口元を覆ったままバスルームへ走った。

 

*

 

「アルバさん、よく飽きないよねえ」

「継続は力なりって言うじゃん」

 囚人服の勇者の手にはいびつな人型が載っていた。木綿で作った人形に、大事な人の体の一部。肌身離さず身に着けて、毎日決まった時刻に心臓の音を聞かせること。街の女の子が飛び付いては忘れていきそうなおまじないだって、勇者様の魔力の前では立派な呪術に変わるのだった。ルキはひとつ溜息を吐く。この人は「思いを叶えるおまじない」の文言をきれいに勘違いしてしまっていて、何でもできると思っていて、そして、実際に何でもできてしまうのだった。つくづく報われない家庭教師だった。

「それで、どんなお願いしてるの」

 呆れながら尋ねると、彼はちょっとだけ後ろめたそうに笑った

「夢の中でだけでも、お父さんと幸せになれるように、って」

 家族を憎んで生きていくのはかなしいことに違いないから。そう呟く表情は穏やかで、愛おしそうに綻んでいた。

 

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