101号室 純情な感情を投げ売り 忍者ブログ

101号室

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純情な感情を投げ売り


「ひ、ああぁっ、や、ゆ、しゃさ、きもち、は、きもちいぃ、うあぁあ、ゆうしゃ、さんっ、く、ああぁぁああ!」

 馬乗りの姿勢で腰を振りたくる動きが止まり、性器を咥え込んだ粘膜がびくびくと締め付けを強くした。掠れる声が一際高く上がった後、腹の上にどろりとしたものが飛び散るのを感じた。シオンが吐精したようだった。力の入らなくなった腕をがくがくと震わせ、それでも何とか体重を支えながら、青年は喘ぎ交じりの呼吸を繰り返す。熱でも上げているような真っ赤な目元を生理的な涙が伝った。

「……ふ、うぁ、あるばさ、ん、」

 敏感な体は、更なる刺激を求めてまたゆるゆると動き始める。その下で、突っ込んでいる方のトイフェルはえぐえぐと泣いていた。誰か助けて。

 

 

 

 無過失という訳ではなかった。サボりがてら魔界の洞窟を訪れたら丁度召喚魔法に大失敗したアルバが肉を溶かさず服だけドロドロ系のとても都合がいい感じのスライムとよろしくやっていて、追い払ってやったはいいが案の定尻に何かお約束的な液体をぶちこまれてしまっていたというのがそもそもの発端なのだった。トイフェルさん助けてくださいからだがあついんですとか言われたら、まあそこは空気と性欲の命令に従ってはいと言う他無いだろう。おくすり成分が頭まで回って前から出るものが透明になってもイキたいイキたいと泣き続け、結局気絶するまで空イキを続けたアルバは、端的に言ってとても具合が良かった。目の焦点が合わなくなったあたりで喘ぎ声に「シオン」とか「ロス」が混じり始めたのはとても恐ろしかったのだけれど。ことが終わってちょっと冷静になってから、トイフェルは頭を抱えた。人のものに手を出してしまった。近日中に死ぬかもしれないと思い、背筋が震えた。全身ぐちゃぐちゃで死んだように眠っているアルバを一通り綺麗にして証拠の隠滅を図ってから逃げ帰ったのだが、怖い人というのはどこからか見ているものらしい。近日中どころかその日の夜に襲撃を受けた。

 

 

 

 ガムテ窓割りという空き巣スキルで不法侵入をキメた男は同じテープでトイフェルの手首を頭の上に一纏めにしてベッドに突き飛ばした。ばっちり目覚めてはいたものの、執事長は何の抵抗も出来なかった。向こうの気迫がヤバすぎた。

「ええええ、えっと、あの、」

「大声は出すなよ。痛い目見たくないならな」

 元勇者の赤い目は血の色をしていた。あ、オレ死んだ。トイフェルは確信した。

 ベッドに乗り上げる男は猫科の肉食獣を思わせる動きで、笑みの形に歪められた口元から覗く白い犬歯は確実にこちらの喉元を狙っていた。低く囁く声は耳朶に触れそうなほど近く、只管に恐怖を煽り立てていた。

「うちの勇者が世話になったようで」

「ひあ、ああああ、すしゅしゅみませんですごめんなさいごめんなさい」

「キスは」

「ひっ!?」

「キスはしたのかと聞いてる」

 見下ろす眼光が鋭さを増した。トイフェルは壊れた人形のように何度も頷いた。

「口開けろ」

 ゼロコンマ秒で体が勝手に従った。抜歯はやめてくださいという声も出せなかった。しかし近づいてきたのは指先ではなく何故か白く整った顔の方で、あれ何かこれおかしくないかと気付いた時には既に舌を突っ込まれいた。

「んーううううんん!?」

 混乱の余り頭の中で変な妖精が踊り始めるほどだった。はーあさっぱりさっぱり。何だこの状況。さっぱり分からないけどとりあえず噛みでもしたら神の御許に直行コースなことだけは確実だった。

 よく動く舌はなぞると言うよりこそぎ取るような動きでトイフェルの口腔粘膜を這い回り、上舌の付近に至るまで二周もしてからようやく満足したらしかった。全体を使って押し潰そうとする強さだったものが舌先で掠めるだけに変わり、かと思えばトイフェルの舌に絡みついて煽り立てるように裏側を擽った。奥歯と歯茎の境をつうと撫でられたらもう駄目だった。勃った。もう本当に駄目だった。

「は、こんなもんで、いいだろ、」

 身を離した青年との間に唾液の筋が一筋繋がるのが見えた。重力に従ってトイフェルの口元に滴り落ちたそれを、勿体ないとでも言うかのように赤い舌がまた舐め取った。

 顔を離されてからも生娘みたいに放心し続けていたところ、何やらがさごそという音が聞こえ、下半身と腹のあたりが嫌な感じにとっても涼しくなった。パジャマって脱がしやすいから怖い。下着も残さず剥ぎ取られていた。熱を帯びた中心に長い指が絡み、ふう、と息が吹きかけられる。シオンがこれ見よがしに舌を出す。先ほどまで口の中を掻き回していたそれに、また体温が上がるのを感じた。

「あの人、良かっただろ?」

「ひ、は、はい」

「一から十まで全部オレが教えたんだよ。キスも舐めるのも腰振るのもイイとこ当たったらどんな声出すのかも空イキの仕方も、ぜんぶ」

 真っ赤な舌が陰茎を這い、その表面に残る何がしかを舐め取ろうとした。べろりと何度か下から上へと動かしてから、躊躇いも無く口に含んでしゃぶり始めた。じゅぷじゅぷと部屋中に満ちる厭らしい水音と、鼻に掛かって抜ける吐息と息苦しさやその他の何かでぐずぐずに融けた赤い目とでトイフェルの頭の中はしっちゃかめっちゃかに掻き回されたしとにかく凄まじく気持ちが良かった。思わず押し付けるように腰を振ってから、あっどうしようやっちゃったと青くなった。相手が相手なのを忘れていた。どのタイミングで噛み切られるんだろうかと恐る恐る顔色を窺ったが意外なことにシオンの表情に怒りは無く、それどころか白い頬を真っ赤に染めてシーツに腹の辺りを擦り付けていた。左手は後ろに回されていてトイフェルの位置から見ることは出来ない。しかし何やらぬちゃぬちゃと掻き混ぜるような音が聞こえてくる気がする。あっれえ?

 ぷは、と性器をしゃぶる口が離され、シオンがまた馬乗りの体勢に戻った。今度は彼のズボンも下ろされており、身をずらす際に会陰とその奥の穴がぬらりと水気を帯びているのが垣間見えた。意味の分からない事態に視線を彷徨わせると、ベッドから落ちたらしい小さなガラス瓶が、フローリングに粘っこい水溜まりを作り始めているのを確認してしまった。トイフェルは見事にフリーズした。

「……っはは、そんなに、ん、怯えんなよ。殺しはしない、から」

 本体の恐慌と混乱にも関わらず元気なままのモノに手を添えて、シオンは一気に腰を落とした。

「っひ、ぐぅう、あっああぁあ、あああ!」

「うぅあ、ああぁ、」

 解されていたとはいえ後孔は酷く狭く、ぬめる肉壁はぎちぎちと陰茎に纏わりついた。気持ちいい。気持ちいいけどすっごい怖い。トイフェルはちょっと泣いてしまった。一方のシオンは圧迫感に耐え兼ねたように、しろい喉を晒してびくりびくりと震えていた。涙がおとがいを伝って一粒だけ零れたが、薄い唇は満足そうに笑みを浮かべていた。

「っあは……入った、勇者さんのナカに入ってたの、全部、」

 眉根を寄せながらも、目に宿る歓喜は尋常ではなかった。執事長は色々と悟ってしまった。この人病気だ。相当ヤバい。

「や、いやだ、抜いてくださ、」

「おっ勃てたまま言うセリフじゃ、ないな」

 腕に力を込め、シオンが腰を引いた。ひ、と微かに息を飲む音が聞こえた。

「あの人、浅いとこ擦られんの好きで、ん、きもちいのに足りなくてイケなくて、あ、うあぁ、ふ、泣きそうになんの、すっごいかわいいの」

 自分の言葉を再現するかのようにして、青年はあと少しで抜けてしまうという位置で腰を振り始めた。内壁が小刻みに痙攣し、きゅうきゅうと締まる入り口が雁首にしゃぶりつくようにして絞り上げた。トイフェルの腰にもどかしさが蟠り始める。視界は涙で滲んでもう何が何だかわからなかった。自棄を起こして突き上げたら亀頭が柔らかなしこりを抉り、シオンが目を見開いて嬌声を上げた。

「ひ、いぁ、あああぁあ!」

 一瞬バランスが崩れ、再び腰が一気に落ちた。シオンは前に触れないまま吐精し、その締め付けに促されてトイフェルも達してしまった。

「……ぁ、なか、でてる」

 涙をぼろぼろと落としながら恍惚と呟く様に、また勝手に中心が熱を持ち始めるのを感じた。やめろ落ちつけアレが何故喜んでるのかよく考えろと思ったがやっぱり下半身は落ち着いてくれなかった。埋めたままの陰茎が硬度を取り戻したのをいいことに、青年はまた律動を始めた。

「おまえさ、あのひとに、ぅあ、ああぁ、何回だした、の、っ」

「さ、んかいっ、ですぅ」

 あとにかい。そう呟いたシオンは自分のいいところを探すようにし腰を回し、動く速度を速める。結合部からはぐちゅぐちゅと嫌らしい水音が響き続けた。

「ぁあ、奥、おく突いて、やああぁあ、ひぁあ……っるばさ、あるばさ、きもちぃ、ゆうしゃさ、んぅう、ぁあああぁっ、あぁ、っ、あ!」

 好き勝手腰を動かし声を堪えることもせずに鳴き喚ききゅうきゅうと咥えたものを締め付けて涙と涎を零しながら、青年は大事な大事な勇者様の名前を呼び続けた。後ろへの刺激だけで二度達し、トイフェルの吐き出したものを後孔で受け止めれば体内を汚される感触を悦び身を震わせた。部屋の空気に湿った音とにおいが染み付きそうなほどだった。

 そして冒頭に戻る。ちなみにトイフェルは挿入させられてからずっと恐怖に泣き続けている。

 

 

 

「――あ、っうぁあ、ああぁあ、っ!」

 三度目の吐精を後ろで飲み干したシオンは、眉を寄せたまま前方に崩れた。半ばまでたくし上げられた寝間着の胸のあたりに、黒い髪がぱらぱらと散っているのが見えた。真夏の犬のような荒い呼吸を繰り返しながら、青年は顔を伏せている。トイフェルが鼻を啜ると、その衝撃すら響いたようで、またびくんと体を震わせた。

「アルバさんのこと大好きなのは分かりましたから、オレのこと巻き込まないでください……」

「嫌だ。あの人のは全部ほしい」

「抱かれるだけじゃ足りないんですか」

「抱かれてないし」

「……は?なんで」

 がっつり肉体関係があるのは先ほど教えて頂いてしまったし、あの勇者なら頼めば上下の交換くらいあっさりと了承してくれるような気がした。それにこの青年は多分突っ込むより突っ込まれる方が向いている。色んな意味で。

 胸に埋められた頭からくぐもった呻きが聞こえてきた。先ほどまでの痴態には似つかわしくない、躊躇うような響きがあった。

「……なんか恥ずかしい」

 目の前の馬鹿が急に可哀想に思えてきて、その真っ黒な頭を撫でてやりたくなった。出来なかった。腕は未だに縛られたままだった。一番可哀想なのが間違いなく自分であることを思い出し、トイフェルはまた泣きそうになった。

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