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どうしようもないものはどうしようもないし、変えようのないものは変えようがないのだ。
問題は自分でもその範囲が分からないということ。ボクは何者で、お前は何を見ているのだろう。
*
「ねえシオン」
「はい」
「お前ボクのこと好きなんだよね」
「何等分にされたいですかゴミ山さん」
「ある朝ボクが毒虫になってても好き?」
「今も同じようなもんでしょう」
「お前のこと全部忘れてても」
「思い出すまで殴ってあげますよ」
「透明人間になってても」
「ペンキぶっかけて見えるようにします」
「本体が肋骨だったらどうする」
「折ります」
「性別変わってたら」
「入籍しますか」
「ボクとお前の身体が入れ替わってしまったら」
「オレ割と面食いだから大丈夫です」
「お前の想像上の存在に過ぎなかったら」
「作家にでもなってあなたを書きますね」
「ボクが水槽に浮く脳だとしたら」
「シワの数数えて笑ってやりますよ」
「ボクが良くできた機械や新鮮なゾンビだったら」
「見世物小屋始めます」
「お前が初めての相手じゃなくても」
「最後の一人にしてください」
「ボクが空っぽだったら」
「落書き帳にしていいですか」
「ボクが神様か何かだとしたら」
「信者にはなりませんけど」
「お前の全ての不幸の原因だったら」
「それ以上に幸せにしてくださいよ」
「ボクがボク以外の何物でもないとしても」
「好きですよ」
「そっかあ」
アルバは酷く面倒くさそうな顔をして溜息を吐いた。
「ならボクもお前が好きだよ」
「……身勝手過ぎでしょう。死ねクソ野郎」
「ほんとに死んだら泣くくせにー」
「泣きませんよ」
シオンは喉の奥で笑った。
「涙腺動くより先に後追いますから」