101号室 多岐亡羊と机上の暴論 忍者ブログ

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多岐亡羊と机上の暴論

 

 どうしようもないものはどうしようもないし、変えようのないものは変えようがないのだ。

 問題は自分でもその範囲が分からないということ。ボクは何者で、お前は何を見ているのだろう。

 

*

 

「ねえシオン」

「はい」

「お前ボクのこと好きなんだよね」

「何等分にされたいですかゴミ山さん」

「ある朝ボクが毒虫になってても好き?」

「今も同じようなもんでしょう」

「お前のこと全部忘れてても」

「思い出すまで殴ってあげますよ」

「透明人間になってても」

「ペンキぶっかけて見えるようにします」

「本体が肋骨だったらどうする」

「折ります」

「性別変わってたら」

「入籍しますか」

「ボクとお前の身体が入れ替わってしまったら」

「オレ割と面食いだから大丈夫です」

「お前の想像上の存在に過ぎなかったら」

「作家にでもなってあなたを書きますね」

「ボクが水槽に浮く脳だとしたら」

「シワの数数えて笑ってやりますよ」

「ボクが良くできた機械や新鮮なゾンビだったら」

「見世物小屋始めます」

「お前が初めての相手じゃなくても」

「最後の一人にしてください」

「ボクが空っぽだったら」

「落書き帳にしていいですか」

「ボクが神様か何かだとしたら」

「信者にはなりませんけど」

「お前の全ての不幸の原因だったら」

「それ以上に幸せにしてくださいよ」

「ボクがボク以外の何物でもないとしても」

「好きですよ」

「そっかあ」

 アルバは酷く面倒くさそうな顔をして溜息を吐いた。

「ならボクもお前が好きだよ」

「……身勝手過ぎでしょう。死ねクソ野郎」

「ほんとに死んだら泣くくせにー」

「泣きませんよ」

 シオンは喉の奥で笑った。

「涙腺動くより先に後追いますから」

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