101号室 アンネイムド* 忍者ブログ

101号室

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アンネイムド*

※性描写あり


拍手[5回]



 あなたの下で子どもはひっきりなしに喘いでいる。

「ひぐ……うぁ、ああぁ……っ、ぁ、やだぁ、やだっや、ひ、」

「やだやだうっさいんですよ、腰振ってるくせに」

「やらっ抜いてぇ、あぁう……ひっ、やだっ……ひぁ、んうぅ、」

「自分で抜けばいいでしょう、がっ」

「無理ぃ、こ、のばかやろ、……うあぁ!あっやあぁ、あ、あああぁあ!」

 もう首を振ることも出来なくなってがくがくと痙攣するだけの子どもに、あなたは唇を歪ませて見せる。成熟しきっていない性器からぬるくおぞましい液体がどくりと吐き出され、彼の下腹を汚していく。後孔の締め付けに促され、あなたもそのまま吐精した。引き絞る動きは別に飲み下そうとしているわけではないので、あなたの出したものは吸収されることなくそこに滞留する。嫌な温度に包まれながらも、あなたは引き抜いてやる気が起きなかった。ろす、なんで、という弱々しい声が聞こえる。あなたはいよいよ声を立てて哄笑してやりたくなる。ロスなどという名前の人間はいない。この子どもは居もしないものに尻を犯されて嬌声と精液を漏らしたのだと思うと、滑稽すぎて涙が出てきた。あなたの涙腺が分泌する透明な滴と子どものなめらかな腹に散る白いものが中途半端に混ざり、気味の悪いマーブル模様を描く。苛立ちのままにあなたは右手を動かし、子どもの頬を張った。けれど、あまりに疲れていたせいか、掌はぱちりという音すら立てられず、それどころか振りぬくことも出来ず、ただ皮膚の表面に留まった。性行為によって追い立てられていたために、子どもの頬は熱を帯びていた。指先を侵略しようとするような温度に反比例して、あなたの興は醒めていく。以前から分かっていたことではあったが、この子どもはとても頭が弱い。何度も似たような状況で強姦されているくせにうまく逃げおおせた例がないのだった。あなたは舌打ちを零す。あなたは右の親指だけを伸ばし、子供のばら色の唇に触れる。飲みこめなかった唾液で湿り、ぬめった感触がある。淫蕩に濡れたままの目をまたたかせ、子どもは吐息を震わせる。あなたは少しだけ指先を進める。子どもの歯の硬い感触がある。爪の先に熱く柔らかいものが触れる。子どもがまた「ろす」と呟くと、その振動があなたの指にまで伝わった。あなたは僅かに開いた上下の歯の隙間に更に指を押し込んでいく。子どもが喉の底の方で何がしか呟く。あなたが予期していたような抵抗はなく、それどころか子どもが少し口を開けたせいで白い前歯は痛みを生み出すことすらしなかった。あなたの苛立ちはもはや怒りの域にすら達している。あなたは唇を噛みしめる。その拍子にまたあなたの目から涙が落ちる。子どもはまた瞬きをする。親指はさらに奥に進む。子どもの頬の内側は、熱く、やわらかく、とろとろと濡れていて、あなたが今もって埋められている排泄孔よりも遥かに生殖器めいてうごめいている。あなたは親指を少し動かして、奥歯の上を滑らせ、今度は舌に触れる。頬よりはざらりとした感触がある。力を込めると不気味なくらい従順に押し込まれ、少し形を変える。ぬめりながら包み込む内臓色のくらいわだつみの幻影があなたの中に去来し、それは背骨を滑り落ち、腰の辺りにわだかまってまた火を灯した。子どもがびくりと身を震わせた。あなたはまだ子どもの舌を弄る。手根骨のあたりで所在なくさまよう舌先を、時折緊張に引き攣るやわらかな筋肉のうねりを、指の腹をくすぐる味蕾の襞のひとつひとつを絡め取ろうとして、何度も親指を滑らせる。喉の深くに差し込むと子どもは苦しげに眉を寄せる。なんとかえずくまいとするように、やっとあなたの指を押し返すような動きを始める。そのせいで逆に舌はあなたの指を包み込む。子どものぼうっとした目にまた涙が溜まりはじめる。子どもがくぐもった声で何かを繰り返す。その二音の連なりの正体をあなたは知っている。奥歯を震わす苦い痛みに耐えきれず、あなたは子どもの口からそっと指を引き抜く。血の通った頬を滑らすようにして手を離す。子どもはひと時も目を逸らすことなくあなたを見ている。

「ロス」

 子供ははっきりした声でその言葉を発した。あなたは子どもを見ることが出来ない。あなたは強く目を瞑る。

「ねえ、ロス」

 子どもの声に暗い色を添えるのが何なのかあなたは理解したくない。あなたは子どもの声を聞きたくない。あなたは自分の耳を塞ぐか子どもの首を絞めるかしなくてはいけない。しかしそれはどちらも叶わない。あなたの背に人の手の感触がふたつ触れる。下から伸ばされた子どもの手はそのまま微かな力を込めてあなたを引き寄せようとする。あなたは何故かそれを跳ね除けない。あなたは子どもの胸の中に収まる。脈拍は子供の方が早く、心臓の鼓動は決して同期しない。ときどき思い出したように一度だけ重なっては離れていく。あなたには見えないが、子どもはとても不安げな表情をしている。子どもはロスを案じている。子どもはロスを理解したいと思っている。子どもはロスを愛したいと思っている。子どもはロスの何がしかになりたいと思っている。ロスが痛みに苛まれながらも自分を犯す理由を知りたいと思っている。

 あなたはロスなどという名前ではない。だからあなたはこの子どもにも秒針の音にも怯える必要はない。あなたはなにひとつ受け取らなくてよい。あなたを縛るのはここにあるものではない。それなのに、あなたは子どもに抱きしめられながら、必死に嗚咽を噛み殺す。

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